仕事でもプライベートでも使い機会の多いWeb翻訳サービス。筆者はその昔「エキサイト翻訳」をよく使っていた記憶がありますが、今やちょっとした翻訳からWebページ翻訳まで「Google翻訳」を利用する方が多いのではないでしょうか。"翻訳"と打とうが"honyaku"と打とうが、もはや"ほにゃく"と打ってもGoogleの検索結果上部に翻訳用のテキストエリアが表示されますから、何とも便利な時代です。
「DeepL翻訳」はドイツ発のスタートアップ企業が開発した翻訳サービスで2020年3月に日本語への翻訳に対応しており、無料版/有料版が用意されています。(無料版の注意点は後述します。)
日本語、英語を含む11言語に対応しています。(2020年5月6日現在)
公式サイトでは”最先端のニューラルネットワーク技術を駆使して開発された、超高性能な機械翻訳システム”と紹介されており、同社独自の比較調査では、社外の専門家らの評価がGoogleやAmazon、Microsoftなどの他社サービスと比べて訳文に高い評価を得たともあり、まさに新進気鋭の翻訳サービスといったところです。Web界隈でもだいぶ評判が良いみたいですね。Webサービスのみならずインストーラー形式でのソフト配布も行っています。
目次
Google翻訳と何が違うの?
Google翻訳も「機械学習」により訳文が生成されています。
明示的な指示を用いることなく、その代わりにパターンと推論に依存して、特定の課題を効率的に実行するためにコンピュータシステムが使用するアルゴリズムおよび統計モデルの科学研究である。機械学習アルゴリズムは、タスクを実行するように明示的にプログラムされることなく予測や決定を行うために、「訓練データ」として知られるサンプルデータに基づいて数学モデルを構築する。
引用元:Wikipedia
小難しい話ですが「コンピュータに大量の教材(訓練データ)を与えてそれはそれはたくさん勉強させることで"応用の利く脳みそ"を持った"人工知能"を作り上げる」というイメージで捉えて頂ければと思います。
DeepL翻訳とGoogle翻訳、両者の違いは「人工知能自体の仕組み」と「訓練データ」にあるものと考えられます。一概に「機械学習」といっても仕組み(アルゴリズム)は似ているようでまるで違うものなのです。話は逸れますが、例えば将棋や囲碁も時々ニュースで取り上げられる程度に「機械学習」が盛んな分野ですが、様々なAI同士を対戦させて強い/弱いの差が出るのも、それぞれの「人工知能自体の仕組み」と「訓練データ」に差が生まれる点から来るものでしょう。
話を戻しますが「DeepL翻訳」のサイトにはテキストをより深く理解し翻訳できる人工知能を開発しています。と記載されています。スタートアップ企業ながらWeb神(Google)に勝るとも劣らない翻訳サービスを開発するとは凄まじい企業ですね・・・。
DeepL翻訳を試してみる
では早速試してみましょう。
利用方法はGoogle翻訳他、既存の翻訳サービス同様に原文と言語を指定するだけでOKです。
お試し翻訳その1
・DeepL翻訳
・Google翻訳
翻訳の前に、原文が某バスケ漫画のアニメ放映時のCMの入り/明けの英語ナレーションの引用であることに気づいた方は相当なSLAM DUNKファンでしょう。
両者とも翻訳スピードは申し分ない速さな上、訳文を日本語で十分に捉えることができますが、少し違いがありますね。DeepL翻訳では以下の特徴があると言われています。
- 口語に強い
- ニュアンスに強い
- スラングや方言にも対応
お試し翻訳その2
次はもう少し長い分を。
・DeepL翻訳
・Google翻訳
原文はアポロ11号の機長で有名な「ニール・アームストロング」の演説の一部です。Google翻訳も概ね日本語訳で内容を受け取れますが、DeepL翻訳の方が自然な訳が出来ているように感じます。これだけの内容を瞬時に翻訳してくれる機能が無料で利用できるなんて本当に便利な時代になりましたね・・・。
その他便利機能
文書翻訳が可能
DeepL翻訳ではファイルアップロードによる文書翻訳が可能となっています。使い方は原文にファイルをドラッグ&ドロップするだけです。
ただし、翻訳先の言語に日本語がありません。文書翻訳については日本語未対応なのかもしれません。
翻訳が完了すると自動でファイルがダウンロードされます。
Google翻訳にも同様の機能が備わっており、日本語にも対応しています。翻訳結果はHTML形式で表示され、やや見づらいのがネックですが対応状況はGoogle翻訳が先を行っている状況かと思います。
無料版利用上の注意点
公式サイトのプライバシーページには以下の様に記載されています。
無料版の利用はテキストがDeepLのサーバーに送信されるとあります。一方で有料版はサーバーに保存されることはないとあります。無料/有料問わず「個人情報の類が含まれるテキストはいかなる場合も使用しなさいでください」の注意書きも要チェックです。よってDeepL翻訳利用に際して注意したいのが業務用途での利用となります。
私も本職はSE(英語は苦手)なので気持ちが大変良く分かるところで、ちょっとした英文をWeb翻訳サービスで訳すという事はよくあります。が、サーバーに送信されてしまう以上、業務文書をinputとしたサービス利用が「セキュリティ面でのインシデントとなりかねない」点、ご留意ください。勿論、社内(プロジェクト内)で認可されていれば問題ありませんが、新進気鋭のサービスだけに「ルールを知らなかった」の類の所謂うっかりミスとなりませんようご確認の上、利用ください。(ちなみにGoogle翻訳もテキスト情報はGoogleに自動収集されるようです。)
2020/6/16追記 有料版が日本語に対応
2020/6/16に日本語対応のDeepL Proの提供が開始され、既に他言語で提供されていた翻訳入力データ保護、文字数制限の解除、API利用などなど様々なサービスが日本語環境に対応しました。